一眼レフであっても、スマホであっても、
上手に見える写真を撮る上で大切なポイントの一つになるのが写真の「構図」です。
写真の構図には、日の丸構図や三分割法構図のような基本的なものをはじめ、たくさんの種類があるということ、ご存知でしょうか?
それぞれの構図をどのように使いこなせば良いのか迷われる方も多いと思います。
写真撮影のときに、構図を意識すると写真の雰囲気や印象がぐっと変わり、写真が劇的に上手に見えます。
被写体の魅力を引き立てるために、被写体に合わせて最適な構図を使いこなしましょう。
この記事は、実務経験のあるプロカメラマン・フォトグラファーが監修しています。
目次
写真の「構図」とは?
写真の「構図」とは、1枚の写真の中の、メインの被写体・背景などを配置する位置の構成です。
「写真を撮るセンスがないから・・・」と諦めていた方も、構図を理解することが写真上達への一番の近道と言っても過言ではありません!
構図を考える前にやっておきたいこと
構図を考える前にまず必要なことが、「魅力的な被写体」探し!
メインとして撮りたいものを決めた上で構図を考えなければ、バランスの取れた素敵な写真には仕上がりません。
なぜなら、被写体と構図にも相性があり、撮りたい被写体やその周りを囲う背景に合わせて構図を考えなければバランスの取れた写真には仕上がらないからです。
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グリッド線を表示しよう!
また、構図に合わせて撮影するときに便利なものが「グリッド線」。
グリッド線とは、画面上に表示される補助線のこと。
仮想的に表示されるグリッドは、画面を見ながら構図を決めるときの目安にもなります。
グリッドを使うことで、今までなんとなく写真を撮っていた方も簡単に構図を意識して写真が撮れますよ。
一眼レフ、ミラーレスカメラの場合
どこのメーカーでも、ほぼ全てのカメラにグリッド線表示機能が搭載されています。
メーカーによって表示方法は異なりますが、設定画面から「グリッド」という項目を探してください。
一眼レフやミラーレスの場合、基本になる9分割だけでなく、より細かい線が表示される24分割、9分割に斜めに線が入る対角線が表示されるカメラもあります。
スマホカメラの場合(iPhone)
スマホカメラでグリッド線を出す場合、まずは画面から設定を開きます。
設定の中にある「カメラ」をタップ。
タップしたら「グリッド」という項目が表示されるので、有効(緑)にするだけでOK。
標準カメラを起動すると白いグリッド線が出てきますよ。
写真の構図17選一覧!
では早速、覚えておきたい写真の構図をご紹介します。
基本の構図からさらにワンランク上の写真が撮れる応用編まで幅広く知っておきましょう。
- 日の丸構図
- 三分割法構図
- 二分割法構図
- シンメトリー構図
- 四分割法構図
- 五分割法構図
- 放射線構図
- 対角線構図
- 三角形構図
- アルファベット構図(S字、C字構図)
- トンネル構図
- サンドイッチ構図
- 額縁構図
- レイルマン比率 / レイルマン構図
- 黄金螺旋構図
- 黄金分割の構図
- 視線誘導構図
日の丸構図
「日の丸構図」とは、日本の国旗のように被写体を真ん中に入れた構図です。
初心者でも簡単に覚えられる構図でありますが、撮り方によっては良くも悪くもありきたりな印象になってしまうことも。
魅力的な日の丸構図の写真を撮るためには、インパクトのある被写体を選ぶことが大切です。
また、同じ日の丸構図でも、アップで撮ったり引いて撮ったりすることで、印象もガラッと変わります。
アップで撮るときには、被写体に思いっきり近づいて大胆な写真を撮ってみてください。
日の丸構図のアップ写真は、人物のポートレート写真にも最適です。
三分割法構図
「三分割法構図」とは、写真の縦と横を3分割にし、線の上や線の交わる点に被写体を配置する構図です。
先ほどお伝えした画面を9等分に分けたグリッド線は、この三分割法構図を用いた線になります。
人物やテーブルフォト、花などを被写体にするときには、線の交わる点に、風景や建物のようなきれいな水平線を感じられる被写体では線を意識して撮影しましょう。
三分割法構図は、日の丸構図と並んで基本的な写真の構図です。
被写体の位置を意識することで写真によりしっかりとした安定感が得られますよ。
二分割法構図
「ニ分割法構図」とは、カメラの画面を縦横それぞれ2分割にした構図のことです。
建物や水平を感じられる被写体に適した構図で、神社の鳥居や左右対称の建物、水平を感じられる風景に合わせるとバランスの良い写真が撮れます。
花畑や空と芝生広場のような水平線が感じられる場でしたら、人物写真にも活用できますよ。
水平線を感じられる場で人物写真に活用すれば、風景と被写体を切り替えるような写真に仕上がります。
ちなみに、この構図を使うときには、少しでも水平となる線が斜めになってしまうと一気に違和感のある写真になってしまうので要注意!
分割線が美しい水平垂直になるように意識しましょう。
シンメトリー構図
「シンメトリー構図」とは、カメラの画面を縦または横を2分割にしたとき、「対称」になる構図のことです。
先にご紹介した二分割法構図のひとつでもあります。
建物などの左右対称のものや、湖などの水面の映り込み風景にこの構図を使いやすいです。
以下の紅葉写真の撮り方でも、水面に映り込む紅葉の写真で紹介しています。
四分割法構図
「四分割法構図」とは、三分割法構図やシンメトリー構図のように、画面を縦横それぞれ4分割にし、この端の線や線が交わる点に被写体を設置する構図です。
これまで紹介した構図に比べて、スペースを広く取った写真になるのでより印象的でストーリー性のある写真に仕上がります。
空間を活かした写真が撮れるので、海や空のような広大な風景に被写体を設置したいときにおすすめの構図です。
五分割法構図
「五分割法構図」とは、画面を縦横それぞれ5分割にし、端の線や線が交わる点に被写体を設置する構図です。
四分割法構図と同じように、余白がしっかりと感じられる写真に仕上がります。
伝えたいイメージをより細かく、個性的に表現したいときにぴったりの構図です。
五分割法構図ですと、四分割法構図以上に主役になる被写体が小さく切り取られます。
そのため、小さく写る被写体が引き立つように意識しなければなりません。
具体的には、被写体以外の背景はシンプルにしたり、被写体の色味(服や小物など)をインパクトのあるカラーで目立たせると良いです。
放射線構図
「放射線構図」とは、一点から外側に向かって放射状に広がっていく構図です。
奥行きの感じられる写真に仕上がるため、勢いやインパクトのある写真になります。
直線が続く街並みや道、鉄道などに活用することの多い構図ですが、子どもが遊具で遊んでいる中でも活用できますよ。
滑り台の下から上にいる子どもを撮影したり、トンネル型の遊具で遊んでいる子どもを正面から覗き込むように撮影するときにも使えます。
対角線構図
「対角線構図」とは、写真の中に、斜めの線や対角線を入れた構図です。
対角線構図では奥行きだけでなく、臨場感が強調されるため、動きのある写真に仕上がります。
斜めの線を意識して被写体を設置してみたり、写真の中に滑り台のような斜めの線となるものを切り取って被写体と合わせて撮影するのもおすすめです。
被写体となるものを、前ボケや背景のぼかしと合わせて、対角線上に置いた写真も面白いです。
水平線を意識した構図にはない奥行きのある写真に仕上がるので、対角線構図をマスターすることでぐんと写真のバリエーションが増えますよ。
三角形構図
「三角形構図」とは、建物や空間を使うことで、画面の中に三角形を作るようなイメージの構図です。
三角形を意識することで、安定感や奥行きのある印象に!
三角形構図を使った撮影のときには、背伸びしたりかがんだりすることで、広がりのあるダイナミックな写真が撮れますよ。
三角形構図は正三角形ではないとダメ!ではないので、逆三角形にしてみたり斜めから見て三角形の形にしてみたり、など被写体に合わせて幅広く楽しめます。
三角形構図を撮るなら山型のものや建物はもちろん、放射線構図と合わせた空間を意識した撮り方もおすすめ!
木が立ち並ぶ道の中に人物を合わせて撮影しても魅力的な写真が撮れますよ。
アルファベット構図(S字、C字構図)
「アルファベット構図」とは、写真の中に、S字やC字のアルファベットの形ができるように撮影する構図のことをいいます。
少し難易度の高い構図になりますが、曲線であるS字やC字構図を活用することで、躍動感のある写真が撮れたり、奥行きや流れのある写真が撮れるのです。
S字、C字どちらも、道のうねりを利用したり階段のカーブ、円の形があるものの一部分を切り取ってC字構図を作り出すのもおすすめですよ。
C字の場合は、ラインの最終地点の方に被写体を設置するとより魅力的に仕上がります。
ちなみに、アルファベット構図は風景だけでなく、テーブルフォトに活用しても!
器の配置にS字カーブを取り入れて、上から撮るととってもオシャレ。
料理に高さが出るように盛り付けた場合は、真上でなく斜め上の方から撮っても良いです。
トンネル構図
「トンネル構図」とは、手前にあるトンネルの中から、明るい風景や被写体を覗き込むように撮影した構図です。
額縁やサンドイッチ構図と少し似ています。
トンネル構図は、暗闇の中からパッと明かりがさすような印象的な写真に仕上がります。
コントラストの差だけでなく、前ボケを上手く活用してトンネルの中を覗いたような使い方もありますよ。
サンドイッチ構図
「サンドイッチ構図」とは、被写体をサンドイッチのように挟んで被写体を引き立てる構図です。
サンドイッチ構図は、狭い道や壁を使うと上手く撮れますよ。
花畑に狭い道があれば両脇にある花で被写体を挟んでも良いでしょう。
竹林や森なら2本の木で挟んでも良いですね。
ただし、場合によってはやりすぎて不自然な印象を与えてしまうので、画面でバランスを確認しながら撮影しましょう。
両脇に置いた被写体を挟むものをボカして撮影すれば、自然に被写体を引き立てられますよ。
額縁構図
「額縁構図」とは、被写体をフレームで囲ったように見せる構図です。
前ボケを使ったりドアや窓枠をフレームに見立てて撮影するのがマスト!
遠目で覗いているように見えるため、どこか懐かしく、ストーリー性のある写真が撮れますよ。
人物撮影はもちろん、風景や建物、手前にフレームとなるものがあれば、基本的にはどんな被写体にも相性抜群の構図です。
レイルマン比率 / レイルマン構図
「レイルマン構図」とは、縦を均等に4等分にし、対角線と交わる点に被写体を置く構図のことです。
三分割法構図に似ていますが、三分割法構図よりも真ん中付近が広く、被写体を中心から離して撮影する構図になります。
そのため、広々と安定感のある写真に仕上がるのです。
ゆったりとした印象を与えるので、風景がメインの開放感のある被写体に向いています。
黄金螺旋構図
「黄金螺旋構図」は、黄金比率で作られた長方形に正方形を作り、それぞれの正方形を対角線で繋いだものを曲線で描いていく形の構図です。「フィボナッチ螺旋」とも言われます。
被写体に曲線を意識したものを配置することで、視線誘導します。
使いこなすには少し難易度の高い構図になるものの、上手く取り入れられるようになるとバランスが良く、印象的な写真が撮れますよ。一度撮影した写真をトリミングするときには扱いにくいので、黄金螺旋構図を使う場合は撮影時から意識してくださいね。
黄金分割の構図
「黄金分割の構図」とは、「分割線」といわれる2つの対角線と、この対角線から引いた垂直線が交わる「黄金分岐点」といわれる分岐点を用いた構図のことです。
この分岐線と黄金分岐点のどこかに、被写体を配置します。
被写体に伝えたいもの(情報が多い)写真を撮りたいときに活用すると、情報量の多い写真もバランスが整ってすっきりと仕上がりますよ。
視線誘導構図
「視線誘導構図」とは、これまでご紹介してきた構図を活用して視線を誘導するように被写体を設置する構図のことをいいます。
奥行きが感じられる、放射線構図や対角線構図、S字構図などと組み合わせてみましょう。
ポイントは、奥の方に被写体を設置すること。
大きいものから小さいものに向けてだったり、人物の目線や線を使って視線を誘導させてみましょう。
人物と風景を一緒に撮りたい、というときに活用するとワンランク上の写真が撮れますよ。
「アングル」は被写体を撮る角度
それぞれの構図に合わせて、アングルを変えて撮影するとバリエーションの幅が広がります。
アングルとは、被写体に対するカメラの角度のこと。
一般的には被写体に対してカメラを水平に向けますが、ハイアングルやローアングルといったアングルをマスターすることで、表現の幅が広がりますよ。
ハイアングル
「ハイアングル」とは、被写体に対して高い角度から撮影する構図のこと。
カメラのレンズを被写体よりも高い位置から下に向けて撮影します。
テーブルフォトや料理撮影は最もメジャーですが、小さな子どもやペットを撮るときに活用しても!
ハイアングルで撮影することで、顔が大きく、体が小さく撮れるので可愛らしさを存分に引き立てた写真が撮れますよ。
桜や紅葉など、高い位置にある木々を前ボケとし、奥に設置した被写体を撮影したいときにも使えます。
高さが足りないときには、段差を活用してみましょう。
ローアングル
「ローアングル」とは、被写体に対して低い角度から撮影する手法のこと。
カメラのレンズを被写体よりも低い位置から見上げるように上に向けて撮影します。
ローアングルで撮影することで、風景と人物をバランス良く切り取れたり、人物を撮るときには足が長く撮れますよ。
さらに、高い建物を撮るときには、ダイナミックで印象的な写真が撮れます。
子どもに限らず人物撮影はもちろん、ペットや建物、花など、さまざまな被写体で活用できるアングルなので、ぜひマスターしておきたい手法です。
一眼レフやミラーレス一眼の場合
ローアングルで撮るときには、地面に思いっきりカメラをつけてもOK。
被写体の高さとどこをどのように切り取りたいかを意識した上でカメラの構える位置を調整しましょう。
一眼レフやミラーレスカメラを使ってローアングルで撮影するときには、ファインダーではなく画面モニターを確認しながらシャッターを切るのが正解です。
スマホカメラの場合
スマホカメラはレンズが上の方にあるため、スマホを逆さに持って撮影しましょう。
レンズを下側に向けた方がより低い位置で構えられるので、ローアングルの魅力を存分に引き立てた写真が撮れますよ。
被写体を置く位置
手前に被写体を置く構図
被写体を手間に置く構図の場合、背景をぼかして被写体のみにピントが合うようにしてみましょう。
カメラ初心者の方でも使いやすいのは、いくつかの花を撮るときに、主役となるメインの花の後ろに脇役の花をボカして撮影する撮り方です。花だけでなく、似ているような形のものを複数並べて撮りたいときにもおすすめです。
先に紹介した構図の中では日の丸構図・三分割法構図・対角線構図・三角形構図等と合わせてみましょう。
奥に被写体を置く構図
奥に被写体を置く構図の場合、写真に奥行きがでます。
地面に近づきローアングルで奥の被写体にピントを合わせて撮ったり、S字構図や放射線構図の奥に人物を置いて撮るとより奥行きと立体感が出ます。
まとめ
今回は写真撮影の基本となる、写真の構図についてご紹介しました。
構図にはたくさんの種類があるため、聞き慣れない言葉も多く難しく感じるものもあるかもしれません。
まずは基本となる日の丸構図や三分割法構図、ハイアングルとローアングルを意識してみてはいかがですか?
ぜひ、上手に見える写真の構図をマスターして日常生活の中でどんどん写真を楽しんでくださいね。