一眼レフやミラーレスカメラを使っていると必ず目にする「F値」。
カメラには、いくつもの設定項目がありますが、さまざまな設定項目の中で最も理解することが難しい、ともいわれています。
上手な写真を撮るためには、光をコントロールすることがとっても大切!
光のコントロールのやり方はいくつかありますが、その一つとして、レンズがどれだけ光を取り込むかで、写真の明るさが変わります。
また、カメラを手にした方の中には、「ボケ感のある写真が撮りたい!」という方も多いのでは?
このF値を調整することで、背景をボカした写真やSNSで流行りのふんわりと明るい写真が撮れます。
今回は、そんなカメラの設定項目のひとつ、F値についてご紹介します。
F値をマスターして、憧れの写真を自分で撮影できるようになりましょう!
この記事は、実務経験のあるプロカメラマン・フォトグラファーが監修しています。
目次
F値(絞り値)とは?
F値とは、カメラに光を取り込む量を調整する数値です。
レンズの中にある光の量を調節する穴の大きさのことをいいます。
穴を大きくすればするほど光を取り込む量が多くなります。
小さくすればするほど光を取り込む量が少なくなるので、意図的なアンダー写真が撮れるのです。
レンズの穴の大きさを実際に目で確認しながら撮影することは難しいので、数値化することで光を取り込む穴の大きさを正確に把握できます。
また、F値は日本語にすると「絞り値」ともいいます。
意味は全く同じなので、イコールで覚えておきましょう。
この記事では「F値」という言葉で説明しますね。
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F値の数字
F値は数字を調整することで、コントロールしなければなりません。
しかし、F値の数字少し特殊な増え方をするので、戸惑うこともあるのでしょう。
F値はF1.4、F1.8、F2、F2.2〜F22・・・といった数値で表現されます。
数値が低ければ低いほど穴が大きくなり、光をたくさん取り込めます。
ちなみに、カメラの知識がある人たちの中では、F値の表現の仕方として、「開放にする」「絞る」などと表現することがあります。
「開放にする」とは、F値を最小にすることをいいます。最小にすることで穴が大きくなり、光をたくさん取り込めます。
また、「絞りを開ける」といった表現をする場合もありますが、この場合は、F値を小さくする、ということになりますね。
逆に、「絞る」というのは、F値を大きくすることをいいます。F値を大きくすることで、光を取り込む穴が閉まり、狭くなります。そのため、光を取り込む量が少なくなるのです。
初めてF値を学ぶとき、F値の数値と開放、絞りの関係について逆に覚えてしまう方も多くいるので注意しましょう。
この数字の仕組みは、F値をマスターするための基本的で大切なポイントになるので、ぜひ覚えてくださいね!
F値の数字が大きすぎると画質が悪くなる!
F値の数字が大きすぎると、光の一部が曲がって広がってしまう「回折現象」というものが起きてしまいます。
回折現象が起きると、画質が悪くなってしまうので要注意!
カメラやレンズによって多少異なりますが、F11程度なら回折現象が起きにくいので、目安にしてください。
F値の設定で写真がどう変わる?
F値の設定によって明るさだけでなく、ピントを合わせる範囲が広くなったり狭くなったりします。
そのため、F値を調整することで、上手な写真の醍醐味でもある「ボケ感」をコントロールできるんですよ。
F値を小さくした場合
F値を開放にしたり、小さい数字に設定すると背景を大きくボカした写真が撮れます。
小さな数字にすることで、ピントの合う範囲が狭くなるのです。
背景を大きくぼかすことで、被写体を引き立てられます。
SNSなどで人気の高い、明るくふんわりとした写真が撮りたい!というときには、F値を小さく設定すると良いでしょう。
F値を大きくした場合
F値を絞ったり、大きな数字に設定すると被写体だけでなく、その周りの背景もしっかりと写し出されます。
数字が大きいほど、ピントの合わせる範囲が広くなるためです。
F値を絞ることで、シャープでくっきりとした写真に仕上がります。
美しい景色を撮ったり背景まで伝わる写真が撮りたい!というときには、F値を大きく設定しましょう。
詳しいF値の決め方は後ほど解説しますね!
レンズの種類によってF値の幅が変わる
F値というのは、レンズの種類によって数値が違います。
全て同じ、というわけではないんですね。
レンズによって開放数値が高かったり、範囲が狭く広かったりする場合もあるのです。
今持っているレンズのF値がどれくらいか確認したい場合は、レンズの側面や正面に記載されているF値や「1:○.○〜○.○」の数値を探してみてください。
「1:○.○〜○.○」といった数値がある場合は、低い数字がそのレンズの開放数値になります。
それぞれのレンズの開放F値の目安をまとめましたので、よろしければ参考になさってくださいね。
単焦点レンズ
単焦点レンズは、明るくボケ感を演出することが強み。
そのため、他のレンズに比べて開放数値が低いのです。
F2以下の小さな数値に対応しているレンズはほぼ、単焦点レンズになります。
標準ズームレンズ
カメラボディを購入する際にセットになっている「キットレンズ」は、この標準ズームレンズになります。
標準ズームレンズの開放数値は、ほとんどがF3.5ほど。
これ以上、F値を下げて明るくボカした写真は撮れません。
望遠レンズ
望遠レンズには、ズームレンズと望遠単焦点レンズがあります。
望遠ズームレンズと望遠単焦点レンズの開放数値は違うので、注意しましょう。
望遠ズームレンズの場合は、開放数値がF4ほど。
望遠単焦点レンズの場合は、開放数値がF2.8ほどになります。
スマホカメラのF値
一眼レフやミラーレスカメラだけでなく、スマホカメラにもF値は設定されています。
- iPhone11の広角カメラはF1.8、超広角カメラはF2.4
- iPhone12の広角カメラはF1.6、超広角カメラはF2.4
- iPhone13の広角カメラはF1.6、超広角カメラはF2.4
となっています。
スマホカメラもF値が小さい方が、光を取り込む量が多くなります。
そのため、暗い所での撮影も強いです。
ただし、スマホカメラは広角レンズを搭載されているため、
一眼レフやミラーレスカメラのようなボケ感は感じられません。
スマホでは、「ポートレートモード」を使用することで、ボケ感のある写真が撮れます。
F値の決め方
F値の仕組みについて理解したら、いよいよ実践編!
F値は、数値によって撮影した写真にも変化が出るので、撮りたいイメージや雰囲気、被写体に合わせてコントロールしましょう。
F値の設定に関して「これが良い!」といった決まりはありませんし、ボケ感や明るさに関しても人それぞれ好みがあります。
F値をコントロールできるようになることで、自分好みの写真が撮れるようになりますよ。
F1.4〜F2.8 |
F4〜F5.6 |
F8〜F11 |
---|---|---|
ほど良くボケ感 シャッターチャンス優先 |
シャープな写真 細部まで写したい風景 |
背景をぼかしたり、ふんわりした写真や暗い場所で撮影したいときにはF1.4〜F2.8
開放値にも近いF1.4〜F2.8は、光を取り込む量も多く背景がしっかりとボケる数値。
そのため、一眼レフらしい背景をしっかりぼかした写真や背景をぼかすことで、被写体をより目立たせたいときにおすすめです。
ちなみに、玉ボケを作るときにもこの数値がマスト!
開放値に設定したら木漏れ日や電球など、光が反射しているところを背景にするとキラキラの玉ボケが作れます。
また、光の量が多いため、ふんわりと柔らかく明るい写真が撮りたいときにもできるだけ開放値に近いF1.4〜F2.8で設定しましょう。
ISOを上げすぎてしまうと画質が落ちてしまう暗い場所や屋内での撮影でも、F値小さく設定するのが鉄則です。
スマホカメラの場合
スマホカメラでも背景をぼかした写真が撮影できます。
スマホカメラ(iPhone)の場合は、「ポートレートモード」を使うことで背景をぼかした写真が撮れますよ。
暗い場所での撮影は、フラッシュはできる限りOFFにして周辺の光を頼って!
それでも暗くなってしまう場合は、露出補正をかけたりスマホカメラ専用のレンズの購入を検討してみましょう。
ちなみに、スマホカメラ(iPhone)で露出補正する場合は、ピントを合わせたいところをタップしたら表示される太陽マークをスライドさせて調整しましょう。
ほど良くボケ感のある写真やシャッターチャンスを優先して撮影したいときはF4〜F5.6
キットレンズや標準ズームレンズの開放値の範囲でもあるF4〜F5.6。
ほど良いボケ感がありつつも、ピントの合う範囲がF1.4〜F2.8より広いので、背景をぼんやり見せたいときにぴったりの数値です。
開放値には及びませんが、F4〜F5.6でも光を取り込む量は多いです。
さらに、動きのある被写体に対してもブレにくい安定した値。
ほど良くボカした明るい写真を撮りながらも、シャッターチャンスを逃したくないときにおすすめの扱いやすい設定値なんですよ。
シャープな写真や背景までしっかり見せたい、風景写真の定番、集合写真はF8〜F11
F8〜F11の設定値は、全体にピントが合うので、背景をくっきりと見せてたシャープな写真を撮りたいときにぴったり。
とくに美しい景色を撮りたいときや、そんな景色に溶け込んだ作品のような人物写真を撮るときにマストな設定値です。
また、大人数で撮影するような集合写真では、写真に入る全員にピントをきれいに合わせなければいけません。
とくに前後で何列か分かれる場合だと、カメラの構造上、前後でピントは合わせられないので、誰かがぼやけた写真になることも。
バシッと全員にピントを合わせるために、集合写真はF8ほどが正解です。
F値を絞ると光を取り込む量が少なくなってしまいます。
そのため、ブレやすくなることも。
F8〜F11のようなしっかり絞った写真を撮りたいときには、手振れ防止のために三脚を使うと良いです。
ちなみにこのF8〜F11の数値は、レンズの性能を最大限に活かすことのできる値といわれています。
絞り値優先モードでF値を学ぼう!
ここまでF値について説明してきましたが、カメラ初心者の方がF値をマスターしたい場合、「絞り値優先モード」という撮影モードを活用しましょう!
カメラでは「A(Av)」と記載されています。
このモードは、F値(絞り値)のみ、自分で合わせ、シャッタースピードや明るさなどはカメラが決めます。
絞り値優先モードを活用することで、F値の変化が学べたりボケ感を優先した写真が撮れるようになります。
絞り値優先モードの使い方
絞り値優先モードの使い方は、まず好みのF値に調節します。
F値の設定後、その近くにある露出計で好みの明るさに調節しましょう。
あとはシャッターを押すだけでOK!
絞り値優先モードを使う上で注意したいこと
注意点としては、ボケ感が強く明るい写真が撮りたいときにはついF値を開放にしがち。
このモードではF値を調整すると設定値に合わせて、シャッタースピードの数値が変わります。
明るさが足りない場所でF値を小さくしてしまうとシャッタースピードが遅くなってしまい、思うような写真が撮れないこともあります。
シャッタースピードは、あまり遅くならないよう、100以下にならないように注意してください。
明るさが足りない場所でF値を小さくしたい場合は、ISOを上げて調節すると良いですよ!
画面でボケ感や明るさを確認しながら自分好みの写真を撮影してくださいね。
まとめ
今回は上手な写真を撮るには欠かせない、F値についてご紹介しました。
いろいろな数字が出てきたり、設定が難しかったりでF値に対して苦手意識を感じてしまう方もいるかもしれません。
しかし、F値をマスターしてボケ感を使いこなせるようになると、ワンランク上の写真が撮れるようになりますよ。
実践でF値を使うには、まずはどんな写真が撮りたいのかイメージすることが何よりも大切!
明確なイメージがあることで、思い通りにF値を使いこなせるようになります。
ボケ感のある写真が撮れるようになると、写真がどんどん楽しくなりますよ。
ぜひ、F値を使いこなしてカメラライフを楽しんでくださいね。