マイブックの「FLAT(フラット)」は、同ブランドとして初めてキヤノンの業務用インクジェットプリンター「DreamLabo 5000」を搭載したフォトブックです。
マイブックはこれまで液体トナーによるデジタルオフセット印刷で定評がありましたが、本製品では染料インクジェット方式に大きく舵を切りました。さらに見開きページが180度フラットに開く合紙綴じを採用することで、レイアウトの制約を大幅に解消しています。
本レビューでは「FLAT 210S」(210mmスクエアサイズ)を実際に発注し、印刷技術・製本クオリティ・実用性の観点から徹底検証を実施しました。
フォトブック業界を15年以上ウォッチしてきた当サイトが、技術仕様を踏まえた詳細分析をお届けします。
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| 商品名 | 評価 ※0〜5.0 | 実際の画質 ※800dpiでスキャン | 実際の製本 ※俯瞰撮影 | 当サイト 限定クーポン | 価格 | ハードカバー A4スクエア相当 20P 送料込価格 | 印刷方式 | カバー(表紙) 製本 | 綴じ方 | 紙質 光沢感 | サイズ | ページ数 | 送料 | 七五三に使える 装飾素材 または テンプレート | スマホ オンライン編集 | スマホ アプリインストール編集 | パソコン オンライン編集 | パソコン ダウンロードソフト編集 | 写真掲載数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 株式会社アスカネット マイブック FLAT | ★4.4 | ![]() | ![]() | – | 6,500円~ | 8,240円 (内送料650円) | DreamLabo5000 7色印刷 (インクジェット) | ハードカバー | 合紙綴じ | 表紙:光沢・無光沢 本文:光沢・半光沢 DreamLabo専用紙 | B5縦長相当/B4スクエア相当/ A4スクエア相当 | 10P~40P スマホは20P | 宅急便:650円 | 七五三専用あり (PC用) | 対応OS:iOS / Android 画像枠:全ページ固定テンプレート 対応画像形式:JPEG | 非対応 | 対応OS:Windows / Mac 画像枠:全ページ固定レイアウト 対応画像形式:JPEG | 対応OS:Windows / Mac 画像枠:自由編集可能 対応画像形式:JPEG/BMP/PNG | スマホ:1冊最大65枚 (テンプレートにより変動) パソコン:無制限 |
※当サイトで独自に調査した結果を記載しています。最終更新日:2025年12月22日
マイブックのFLATが採用するのは、キヤノンDreamLabo 5000による7色染料インクジェット印刷システムです。CMYKの基本4色にフォトシアン・フォトマゼンタ・グレーを追加した7色構成により、従来の4色印刷では表現不可能だった広色域と階調性を獲得しています。
実際に印刷した仕上がりは、マイブック独自の色調整により、大変色再現性が高く美しい仕上がりでした。
用紙はキヤノンが自社プリンター専用に開発した印刷紙で、光沢紙と半光沢紙の2種類。好みに合わせて質感を選択できます。
製本は他社にはあまり無い花布付きの合紙綴じ製本で180度フラットに開くことができ、細部まで丁寧な作り美術書レベルの仕上がりです。
特別な1冊を作りたい方におすすめです。
スマホからは自由な編集はできないものの、パソコンからはWindows・Mac対応の「MyBookEditor」で細部までカスタマイズ可能です。
おすすめな人
- 画質の美しさを最も重視する人
- 製本の丈夫さを最も重視する人
- 花布付きで丁寧な製本のフォトブックを作りたい人
- 公式の通話料無料の電話でサポートを受けたい人
おすすめではない人
- 価格の安さを最も重視したい人
- 納期の早さを最も重視したい人
- スマホから公式の編集ツールで自由な編集をしたい人
マイブックのFLATを実際に作ったレビュー・評価

マイブックで実際に作成した「FLAT」表紙
発注から約1週間で商品が到着しました。マイブックは専用の梱包材を使用した宅配便での配送を標準としています。
カッターやはさみ無しで簡単に開けることができます。
開封すると、フォトブック本体は透明な保護袋に収められており、さらに緩衝材で保護されていました。長期保存を前提とした記念アルバムとして、配送段階から品質管理が徹底されている印象を受けます。
画質【写真の精細さ】

マイブック FLATの画質(7色印刷/光沢紙)(800dpiでスキャニング)
届いたフォトブックを開いて最初に驚いたのは、写真の精細さと滑らかさです。マイブックのFLATが採用するキヤノンDreamLabo 5000は、商業印刷市場において写真画質で最高峰に位置付けられる業務用インクジェットプリンターです。
この印刷機の技術的特徴は、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)に加えて、淡色系のフォトシアン(PC)・フォトマゼンタ(PM)、さらにグレー(Gray)を加えた7色染料インクシステムにあります。
実際に印刷された写真を見ると、800dpiでスキャニングして拡大しても網点(ドット)がほとんど見えず、大変なめらかなグラデーションになっています。
画質【発色の美しさ】

マイブック FLATの画質(7色印刷)
人物写真は、血色のいい自然な肌色が実現されており、ディスプレイで見たときの印象に近い仕上がりになっていました。
キヤノン純正専用紙は染料インクの吸収特性が最適化されており、色の滲みや混色を抑制しながら高い発色性能を発揮します。
その結果、肌の透明感や立体感まで表現され、まるで写真をそのまま紙に封じ込めたような美しさです。
特筆すべきは、マイブック独自の調整によるの色再現性です。ディスプレイで見た画像と印刷物を比較しても、色の乖離が最小限に抑えられています。
マイブックは元々色再現性を重視しており、4色印刷でも美しい発色でしたが、7色インクジェットになったことで、元画像に近い安定した色再現性がさらに向上しました。
人物写真の肌の質感は特に美しく、赤ちゃんのもちもちとした柔らかな肌の立体感が再現されていました。
淡色インクの追加により、ハイライト部分からミドルトーンにかけての階調表現が非常に美しく、肌の微妙な色の変化まできめ細かく表現されています。
「FLAT」と「ART-HC」の画質比較
- マイブック FLATの画質(7色印刷)
- マイブックの画質 (液体トナー4色印刷)
- マイブック FLATの画質(7色印刷/光沢紙)(800dpiでスキャニング)
- マイブックの画質 (液体トナー4色印刷)(800dpiでスキャニング)
マイブックの主力製品であるART-HCは、液体トナー4色印刷(デジタルオフセット方式)を採用しています。ART-HCも、安価な粉体トナー印刷と比べればはるかにきれいですが、FLATの7色インクジェット印刷と比較すると画質の差は歴然です。
実際に並べて比較すると、ART-HCでは拡大したときに網点構造が確認できます。これは印刷技術として正常な構造ですが、FLATではこの網点がなく、なめらかな階調推移が実現されています。
色域の広さも顕著に異なり、特に肌色の中間調や、青空のグラデーション、暗部の色再現など、人間の目が敏感に反応する色域においてFLATの優位性が際立ちます。
価格差を考慮しても、写真画質を最優先する記念アルバムにはFLATを選択する価値があります。
子供のスナップ写真や、結婚式、七五三、成人式の記念写真でも、旅行やアウトドアでの風景写真でも、これまでにない印象的な写真や表現力に圧倒される写真がたくさん印刷できるでしょう。
製本の品質
マイブックのFLATが採用する合紙綴じは、見開き2ページ分の印刷紙を二つ折りにして中央で折り目を作り、その裏面同士を接着剤で貼り合わせていく製本方式です。
- マイブック FLATの製本・綴じ方(俯瞰で撮影)
- マイブック ART-HCの製本・綴じ方(俯瞰で撮影)
- マイブック DXの製本・綴じ方(俯瞰で撮影)
実際にフォトブックを手にとって開いてみると、合紙綴じなので見開きページが180度完全にフラットに開きます。
マイブックのART-HCを含む一般的な無線綴じのフォトブックでは、ページを束ねて背の部分を接着するため、開いたときに中央部分が盛り上がり、写真が歪んで見えたり、一部が隠れてしまったりします。
- マイブック FLAT(フラットブック)(7色印刷)
- マイブック DX
- 【ハードカバー】マイブック ART-HC
FLATでは各見開きが独立した構造となるため、この問題が完全に解消されています。1枚の写真を見開き2ページ全面にレイアウトしても、中央の折り目部分まで写真が途切れることなく鑑賞可能です。パノラマ風景写真、横長の集合写真などを迫力あるサイズで配置できるのは大きなアドバンテージです。
- マイブック FLAT(合紙綴じ)
- マイブック ART-HC(無線綴じ)
もう一つの特徴はページの厚みと剛性です。キヤノン専用紙は写真画質を優先した厚手の高品質用紙であり、さらに2枚を貼り合わせる合紙構造により、各ページが板紙のような厚みと硬さがあります。ページをめくるときにしっかりとした手応えがあり、高級感を感じます。
今回注文した20ページ構成では背幅が約12mmとなり、書棚に並べても存在感のあるアルバムに仕上がりました。最小構成の10ページでも背幅が約8mm確保され、上製本として成立する外観と手に取ったときの重厚感を実現しています。
ハードカバー(上製本)の構造にも注目です。表紙は厚手で硬質なボードを芯材とし、その上に印刷紙を巻き込んで接着する伝統的な上製本技法が用いられています。
さらに、製本背の上下両端には「花布(はなぎれ)」という装飾布が配されています。これは美術書や高級写真集に見られる意匠で、表紙と本文の接合部を保護すると同時に、視覚的な高級感を演出する役割を果たします。
FLATは全ページ数に花布がついており、この細部まで手を抜かない仕上げに、長期保存を想定した製品づくりへのこだわりを感じました。
なお、マイブックの全製品に共通する特徴として、裏表紙にブランドロゴやバーコードの印刷が一切ありません。完全にプライベートな記念アルバムとして完結する設計となっています。
参考:ロゴ・QRコード・バーコードの記載が「無い」フォトブックと「ある」フォトブック
紙質・光沢感
表紙のツヤ・光沢感→艶消しか光沢を選択可能

マイブックで実際に作成した「FLAT」表紙
マイブックFLATの表紙の質感は「ラミネート加工-光沢」「ラミネート加工-つや消し」から選ぶことができます。
ラミネート加工とは、PP加工のことで、ポリプロピレンフィルムを表面に熱圧着する表面加工技術です。
この加工により、表紙の耐久性が向上し、汚れや傷から保護されます。
注文したのは光沢タイプです。光沢タイプは豪華なツヤで美しいですが、指紋がつきやすいので、さらさらとした質感の艶消しもおすすめです。
好みや用途に応じて選択できるのが良いですね。
本文ページのツヤ・光沢感→選べる光沢紙・半光沢紙
本文ページは、DreamLabo 5000専用に開発されたキヤノン純正印刷紙の光沢紙(グロッシー)または半光沢紙を選択できます。
どちらもDreamLabo5000 専用の用紙です。表面加工はされていませんが、画像保存性(退色しにくい性質)・耐久性に、非常に優れているため、表面加工の必要はありません。
今回注文した光沢紙は、ツヤツヤの鏡面で豪華な印象に仕上がりました。
半光沢紙は控えめな艶感で上品な印象になります。
編集ツールの対応状況

MyBookEditor Mac版
マイブックFLATのフォトブック作成には、2つの編集方法があります。
ひとつは高機能なダウンロードソフト「こだわり作成ソフト(PC)」、もうひとつは手軽に使える「かんたん作成ソフト(スマホ/PC)」です。
マイブックFLATは高価格帯の製品ですから、もしパソコンとスマホの両方を持っているなら、パソコンから「こだわり作成ソフト(PC)」をダウンロードしてマイブックFLATを作るのがおすすめです。
せっかく高品質な印刷と製本に投資するのですから、細かなレイアウト調整や文字の配置など、より自由度の高い編集機能を使って、妥協のない作品に仕上げることができます。
以下のように、美白・鮮明・セピア・モノクロなどの写真加工も可能です。

編集機能の詳細についてはこちらの記事もご覧ください。
装飾機能の充実度
- マイブック フラットフォトブック(合紙綴じ)
- マイブック フラットフォトブック(合紙綴じ)
マイブックが長年にわたり評価されている理由の一つが、デザイナーによる質の高いテンプレート群です。
単なる写真配置の枠を超えて、アルバム全体のストーリー性や美的統一感を演出する設計がなされています。
ただし、FLATシリーズは比較的新しい製品ラインであるため、MyBookEditorで対応するデザインテンプレートは従来のART-HCシリーズと比較すると少なめではありますが、ウェディング、ベビー、トラベル、ポートレートなど、主要ジャンルのテンプレートは揃っており、一般的な記念アルバム作成には十分な選択肢があります。
本文ページでは、装飾フレーム、スタンプ、吹き出し、背景パターンなどの素材を自由に配置できます。これらの装飾要素は、写真を引き立てながら過度に主張しないバランスが考慮されたデザインとなっており、センスの良いアルバム作りをサポートします。
編集の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
コストパフォーマンス
マイブックのFLATは、210mmスクエアサイズ10ページが5,980円(税込)からという価格設定です。
業務用インクジェットプリンター「DreamLabo 5000」による7色印刷、合紙綴じ製本、キヤノン純正専用紙、花布付き上製本という仕様を考慮すると、この価格帯は市場において十分に競争力があると評価できます。
FLATの価格は、従来のマイブックの主力アイテムであるART-HCよりも高く設定されていますが、画質と製本品質の向上を考えれば納得できる価格だと感じました。
ページ数は10ページから40ページの範囲で選択可能です。最大40ページという制限は、合紙綴じ製本の物理的特性によるものです。ページ数が増えるほど背幅が厚くなり、40ページ時には約18mmに達します。これ以上厚くすると、開閉動作や保管時の取り扱いに支障が出る可能性があるため、実用性を考慮した上限設定と言えます。ただし、40ページ時の背幅は約18mmもあり、フォトブックとして十分な厚さと存在感です。
最大260mmスクエアという大判サイズも選択でき、こちらは10ページで9,980円(税込)からです。A4判に近いサイズ感で、写真を大きく見せたい場合や、見開きで迫力のあるレイアウトを実現したい場合に適しています。
100ページ以上の大容量アルバムが必要な場合は、無線綴じ製本のART-HCシリーズ(最大100ページ)が選択肢となります。用途と予算に応じて製品ラインを使い分けることで、最適な組み合わせを見つけることができます。
マイブック FLATを実際に作ってわかった長所・短所まとめ

- 合紙綴じで超高画質なDreamLabo5000 7色印刷(インクジェット)
- 初回のみ30%オフになる
- 初回は作り直しが無料
- 他社と比較して色再現性に優れた画質
- 花布付き上製本で美術書レベルの仕上がり、細部まで丁寧な作り
- 光沢紙・半光沢紙の2種類から用紙を選択できる
- ロゴやバーコードの記載がないのでプレゼントに相応しい
- パソコンからの編集では、上質なデザインテンプレートが他社と比較して圧倒的に豊富
- パソコンからの編集なら1ページの写真点数無制限
- パソコン用のダウンロード編集ソフトは自由編集の機能が充実
- カスタマーサポートが充実。無料通話で問い合わせ可能。

- スマホからは編集の自由度が低い
- スマホからは1冊に掲載できる写真数が少ない
- 従来のART-HCシリーズと比較して高価格帯
マイブックのFLATは、キヤノンDreamLabo 5000による7色染料インクジェット印刷システムと、見開き完全フラットの合紙綴じ製本技術を組み合わせることで、商業印刷レベルの画質と実用性を両立させたフォトブックです。
実際に手にとって感じたのは、写真の色再現性の高さと製本の丁寧さです。拡大しても網点が見えないなめらかな階調表現、血色のいい自然な肌色、見開き中央で写真が途切れないレイアウトの自由度は、従来のフォトブックでは実現できなかった品質です。
特に優れているのは、ディスプレイで見た画像の色調に近い色を紙媒体に再現できる点です。元画像に近い安定した色再現性により、撮影した写真の美しさをそのままアルバムに残すことができます。
さらに、暗所保存300年という画像保存性能は、子や孫の世代に引き継ぐ家族の記録として理想的です。表面加工なしでこの耐久性を実現している点も、技術的に高く評価できます。
マイブックでフォトブックを作成する際は、用途に応じた製品選択が重要です。最高画質と見開きレイアウトの自由度を最優先するならFLATを、ページ数が多い(40ページ超)大容量アルバムが必要ならART-HCを選択することで、目的に最適化されたアルバム作りが可能です。
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